GLP-1とは?──作用機序と医療ダイエットへの応用

ウエストをメジャーで測る20代日本人女性──GLP-1医療ダイエットを象徴するスタジオ写真
GLP-1を活用した医療ダイエットでは、数値で変化を確認しながら健康的にサイズダウンを目指します。

GLP‑1(グルカゴン様ペプチド‑1)は、私たちの腸管から自然に分泌されるホルモンで、食後に血糖値を調整しながら「おなかがいっぱいになった」という信号を脳へ伝える働きをします。本記事では、そのメカニズムから注目の医療ダイエットまで、やさしく解説します。

GLP‑1はもともと人体にある “食欲制御ホルモン”

  • インクレチン作用: GLP‑1は小腸の L 細胞から分泌されるインクレチンホルモンの一種で、膵臓β細胞に働きかけてインスリン分泌を促進し、血糖値の上昇を抑えます。
  • 満腹中枢への刺激: 脳の視床下部にある満腹中枢を刺激し、食欲を自然に抑制。
  • 胃排出遅延: 胃の内容物が腸へ送られる速度を緩やかにし、少量でも満足感が続くのが特徴です。
腸から膵臓、脳へホルモンが作用するGLP-1/GIPの経路図
GLP-1とGIPはインスリン分泌と食欲抑制の両面で働きます。

これらの作用が”食欲抑制”と”血糖コントロール”を同時に達成するため、肥満改善や糖尿病治療で注目されています。

注射・経口など “GLP‑1受容体作動薬” の代表例

剤形 一般名/製品名 投与頻度の目安 主な適応
皮下注 チルゼパチド/マンジャロ® 週1回 2型糖尿病(海外では肥満症にも)
皮下注 セマグルチド/オゼンピック® 週1回 2型糖尿病
経口 セマグルチド/リベルサス® 1日1回 2型糖尿病
皮下注 リラグルチド/ビクトーザ® 1日1回 2型糖尿病

2型糖尿病の治療薬としての歴史

GLP‑1受容体作動薬は2009年に国内で承認(リラグルチド)されて以来、血糖降下薬として保険適用されてきました。現在も2型糖尿病が公的保険の適応疾患となります。

美容・ダイエット目的は自由診療

  • 肥満治療を主目的に使用する場合、日本では保険がききません(自費診療)。
  • 費用の目安はクリニックによりますが、月1万〜5万円前後が一般的。マンジャロやオゼンピックの自費診療では10万円近くになるケースもあります。

効果を引き出す3つのポイント

  • 医師の用量調整 ― いきなり高用量にせず、吐き気・倦怠感などの副作用を観察しながら段階的に増量。
  • 食事管理 ― 高タンパク・低GIを意識し、アルコール・甘味飲料は控えめに。
  • 運動併用 ― 有酸素+筋トレ(週150分目安)で筋量を維持して”リバウンド”を防止。

よくある質問(Q&A)

Q1. 保険は本当に使えないの?

A. 2型糖尿病の治療目的であれば保険適用ですが、ダイエット目的は自費になります。

Q2. 注射は痛い?

A. 針は極細(33G前後)で、体験談では”採血より痛くない”と答える方が多数。

Q3. いつから効き始める?

A. 早い人で1週間以内に食欲低下を実感し、体重減少は数週間後から徐々に。

Q4. 妊娠中でも使える?

A. 妊娠中・授乳中は安全性が確立していないため、使用できません。

まとめ──”ホルモンを味方にする” 新しい医療ダイエット

GLP‑1は私たちの体に元々備わるホルモンを活用する”内側からのダイエット”です。医師の監督のもと、生活習慣の改善と組み合わせることで最大限の効果が期待できます。自己判断での過剰量使用はリスクを伴うため、専門クリニックでの相談をおすすめします。

医療機関での相談が第一歩 体質や既往症に応じたオーダーメイド治療で、健康的に理想体重を目指しましょう。

健康的なダイエットのために、まずは医療機関に相談しましょう