糖尿病・肥満治療の新たな選択肢として注目を集める画期的な週1回注射薬
マンジャロ（Mounjaro）の基本情報
マンジャロ（Mounjaro）は、アメリカの製薬企業イーライリリーが開発した週1回投与の注射薬で、一般名をチルゼパチド（tirzepatide）といいます。
マンジャロの特徴：従来のGLP-1受容体作動薬（例：オゼンピック〈セマグルチド〉など）に比べてユニークなのは、GIP（胃抑制ポリペプチド）とGLP-1（グルカゴン様ペプチド-1）という2種類のホルモン受容体を同時に刺激する”二重作動型（デュアルアゴニスト）“薬である点です。
GIPとGLP-1はいずれも食事の際に小腸から分泌されるインクレチンホルモンで、血糖値の調節や食欲の抑制に関与します。マンジャロはこれら両方の作用を併せ持つことで、インスリン分泌促進・血糖低下効果に加えて、脳の満腹中枢への働きかけによる食欲抑制や脂質代謝改善効果を同時に発揮することができます。
開発元のイーライリリー日本法人から、2型糖尿病治療薬として日本でも2023年4月に発売されており、今後は肥満症治療薬としての適応拡大にも大きな期待が寄せられています。
作用機序と特徴
マンジャロの作用機序は、GIP受容体とGLP-1受容体の両方を活性化する点にあります。1本の分子（チルゼパチド）の中でGIPの構造を基に一部改変を加え、GLP-1受容体にも結合できるように設計されており、これにより2つの経路を同時刺激して血糖改善と食欲抑制効果を発揮します。
GIPへの作用はGLP-1作用と相まって体重減少効果を高めると考えられており、実際にマンジャロは強力な血糖降下作用と体重減少作用を示す点が大きな特徴です。
GLP-1単独薬との効果比較
マンジャロは既存のGLP-1作動薬に比べ、血糖・体重への効果がより大きいことが臨床試験で確認されています。
| 比較項目 | マンジャロ（チルゼパチド） | オゼンピック（セマグルチド） |
|---|---|---|
| 作用機序 | GIP + GLP-1受容体作動薬 | GLP-1受容体作動薬 |
| HbA1c低下効果 | 最大2.5%低下 | 1.9%低下 |
| 体重減少効果 | 平均15%減 | 5～8%減程度 |
特に肥満症患者を対象にマンジャロを72週間使用した海外第III相試験では、最高用量15mgで平均20.9%もの体重減少が報告されており、プラセボ群（3.1%減）と比べ圧倒的な効果でした。
日本人対象の臨床試験でも同様に最大約21%の減量効果が確認されており、85%以上の患者が体重5%以上減少を達成しています。
心血管系リスク低減効果
また糖尿病患者においては、マンジャロ使用により以下の効果が報告されています：
- 全死亡リスク：42%低減
- 主要心血管イベント：20%減少
これらのデータから、マンジャロは糖尿病治療と肥満・生活習慣病対策の両面で画期的な効果を示す新薬と言えます。
よくある質問
まとめ
マンジャロ（チルゼパチド）は、GIPとGLP-1の両受容体に作用する二重作動薬として、 従来のGLP-1単独薬を上回る血糖コントロールと体重減少効果を示す革新的な注射薬です。 日本では2023年に2型糖尿病治療薬として「マンジャロ」が保険適用されており、 さらに2024年12月には、同一成分の「ゼップバウンド」が肥満症治療薬として正式に承認されました。
特に、糖尿病や肥満に悩む患者にとって新たな治療選択肢となっており、 医師の指導のもとで適切に使用すれば、生活習慣の改善と組み合わせて高い治療効果が期待できます。 今後もさらなる適応拡大や使用方法の進化が注目されています。
糖尿病や肥満でお悩みの方は、マンジャロについて医師にご相談ください
